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中東が抱える「気候難民」の爆弾

急速に広がる「居住不能」地帯

2023年2月号

 中東産油国が、地球温暖化で住めなくなる―。
 遠い将来の話ではない。最近の研究では、これから二十年余りで、アラビア半島のほとんどが居住不可能な状態に陥ると予測されている。サウジアラビアやカタールの都市部では目下、強力な冷房の多用で何とかしのいでいるものの、それすら限界がやってくる。
 現在の中東諸国は、アフリカ大陸やインド亜大陸からの移民を三千万人も抱えているが、やがては中東に住む四億人の大半が、この地域に住めなくなる時代がやってきそうである。
 世界で最も通航量の多い海と言えば、英仏海峡やマラッカ海峡、パナマ運河などの名前が挙がる。
 アフリカの角とアラビア半島の間にあるバブエルマンデブ海峡も、同様に重要なシーレーンだが、ここは「世界一危険な海域」の異名も持つ。アフリカ大陸とアラビア半島の距離が三十キロメートル足らずで、密航者が絶えないからだ。アフリカ最貧国の一つ、ジブチから、アラビア半島最貧国のイエメンに渡る旅だ。
「大半はエチオピア人で、食うや食わずの旅の末、なけなしの金を密航業者に取られて、イエメンに渡る。最終的な目的地は、サ・・・