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経済

《企業研究》味の素

値上げラッシュで「ぼろ儲け」

2023年2月号

「四度目の値上げもあり得るのではないか」。首都圏を地盤とする中堅食品スーパーの仕入れ担当者はしきりと警戒感を募らせる。
 マヨネーズ―のことだ。その原材料の一つである鶏卵の価格がここにきて急上昇しているからだ。農林水産省の食品価格動向調査によると今年一月のたまごの全国平均小売価格は一パック(十個入り)二百四十四円と過去五年間における一月平均価格から一三%高騰。最需要期である十二月と比較した前月比でも三%アップした。卸値はさらに上がっており、鶏卵販売専門会社のJA全農たまごによると、東京地区の基準値(Mサイズ)は二百八十五円と一月としては一九八六年以来、三十七年ぶりの水準に跳ね上がっているという。
 トウモロコシなど採卵鶏に与える飼料代が値上がりしているうえ、鳥インフルエンザの発生件数が過去最多を更新し続けるペースで拡大。たまごの流通量が細っているためだ。農水省はエサ代の緊急支援などを検討中だが、今後は電気代値上げなどエネルギーコストのさらなる上昇も控えている。農水当局筋の一人は「どこまで価格下げ止まりへの波及効果があるかはまったく分からない」と溜息を漏らす。
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