サイバー警察局「大手柄」の眉唾
暗号解除「成功」報道に疑義あり
2023年2月号
サイバーセキュリティの分野で、最大の懸案となっているランサムウェア(身代金要求型ウイルス)攻撃だが、日本でも一般企業や自治体、病院などで大きな被害が出ている。
一度ランサムウェアに感染すると、コンピューターが暗号化されて使えなくなるばかりか、内部の機密データまで盗まれる。世界の捜査当局やセキュリティ企業などでも暗号解除は難しく、対応に苦慮するケースが多い。
ところが、そんなランサムウェアを、日本の警察が世界に先駆けて暗号解除に成功しているというニュースが、暮れも押し詰まった十二月二十八日にサイバーセキュリティ関係者の間を駆け巡った。日経新聞電子版が、まるで仕事納め後のタイミングを見計らったかのように、午後七時に「身代金ウイルス、警察庁が暗号解除成功 支払い未然防止」との見出しで記事を掲載したのだ。
ところがこの記事は「どうもおかしい」として、年明けからセキュリティ界隈で物議を醸している。
記事の概要はこうだ。昨年四月に設置された警察庁のサイバー警察局が、「ロックビット」というランサムウェアの暗号を強制解除して、「国内企業三社でデータの復・・・
一度ランサムウェアに感染すると、コンピューターが暗号化されて使えなくなるばかりか、内部の機密データまで盗まれる。世界の捜査当局やセキュリティ企業などでも暗号解除は難しく、対応に苦慮するケースが多い。
ところが、そんなランサムウェアを、日本の警察が世界に先駆けて暗号解除に成功しているというニュースが、暮れも押し詰まった十二月二十八日にサイバーセキュリティ関係者の間を駆け巡った。日経新聞電子版が、まるで仕事納め後のタイミングを見計らったかのように、午後七時に「身代金ウイルス、警察庁が暗号解除成功 支払い未然防止」との見出しで記事を掲載したのだ。
ところがこの記事は「どうもおかしい」として、年明けからセキュリティ界隈で物議を醸している。
記事の概要はこうだ。昨年四月に設置された警察庁のサイバー警察局が、「ロックビット」というランサムウェアの暗号を強制解除して、「国内企業三社でデータの復・・・