三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

ゼロゼロ融資「不良債権化」の災厄

返済開始で露呈する「悪行」の数々

2023年2月号

 新型コロナの感染症法上の分類を変更する方針が固まり、春以降、「ウィズ・コロナ」の新局面に入る。ただし、この三年で溜まったツケを払う必要もあるだろう。中でも国民に直結する大きな借金が、大盤振る舞いされたいわゆる「ゼロゼロ融資」だ。この返済が、まさに今春以降、本格化する。総額四十二兆円にも上る融資の中には杜撰なものが多く紛れ込んでいる。金融機関のモラルハザードによる災厄が、日本経済の足を引っ張りかねない。

「ザル審査」だらけの商工中金

「緊急措置ということを言い訳にして、杜撰な審査がやりたい放題だった」
 近畿地方のある地銀関係者はこう振り返る。新型コロナが日本に上陸した二〇二〇年、政府は資金繰りに行き詰まりそうな企業への金融支援を決定。実質無利子、無担保の融資が行われた。当初は日本政策金融公庫(日本公庫)と商工組合中央金庫(商工中金)で行われる予定だったが、申し込みが殺到しパンク。すぐに、信用保証協会を使った枠組みで民間金融機関にも対象が拡大された。
 申し込みが締め切られた昨年九月までに・・・