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経済

エーザイ「認知症新薬」の不安

その効果と安全性に「疑念」あり

2023年2月号

 エーザイと米バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病の治療薬「レカネマブ」を米食品医薬品局(FDA)が、今年一月六日に迅速承認した。この薬はアルツハイマー病の原因物質の一つを破壊することで病気の進行を抑制するもので、開発成功は画期的とされる。この結果、エーザイは巨額の富を築くことになりそうだ。日本でも同十六日に承認申請をした。絶好調にみえるが、実はこの薬には根深い課題が横たわる。加えて強敵が出現する気配もある。エーザイの先行きは視界良好とは言い切れないのだ。
 アルツハイマー病は世界が抱える重大な問題だ。約五千五百万人が罹患し、高齢化の進展とともに患者数は急増している。その病気を根本的に治療する薬というだけに反響は大きかった。FDAの迅速承認後の一月八日、読売新聞と日本経済新聞は朝刊一面トップでこの「壮挙」を報じた。英『ネイチャー』誌(一月五日号)は「二〇二三年に注目すべき科学イベント」という記事でレカネマブを取り上げている。
 米国でのレカネマブの薬価は、年間二万六千五百ドル。医薬業界誌は三年後には米国内で十万人に投与され、売上は二十六億ドルを超えると予想して・・・