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経済

《クローズ・アップ》丹羽 俊介(JR東海次期社長)

「脱葛西」とリニアという難問

2023年2月号

 一月二十二日、またしても東海道新幹線が止まった。昨年十二月の長時間停電の時と同じ日曜日。今回は最大二時間程度で復旧したが、利用者は電気のストップした車内で不安な時間を過ごした。
 今回は、変電所が異常な電流を検知したため、電気の供給が止まったという。原因は電流が本来の経路を外れて地面に流れる「地絡」という現象が起きたためとみられているが、詳細は不明だ。
 しかしこう頻繁に止まるのでは、「大動脈インフラ」として失格だ。二月は本格的な受験シーズンであり、昨年末のような長時間ストップが再発すれば受験生の人生をも左右しかねない。JR東海のドル箱である東海道新幹線は来年、開業から六十周年を迎えるが、あちこちにガタがきている。
 一月十一日、JR東海は、丹羽俊介副社長が昇格する人事を発表している。昨年、金子慎社長が五年目に突入したため、大方の予想では二〇二四年まで居座るとみられていた。この人事は、すでに病気が進行していた「JR東海のドン」、葛西敬之氏の了承を得たものだったという。葛西氏が金子氏を続投させたのはなぜか。JR東海の関係者が語る。
「リニア中央新・・・