伊藤忠と丸紅「再統合」はあるか
百五十周年「紅忠」広告の波紋
2023年2月号
〈今から一五〇年前 「紅忠」開店。丸紅・伊藤忠はここからはじまった。〉
昨年十二月二十一日付の日本経済新聞に、総合商社二社の共同広告が掲載された。キャッチコピーとともに、見開き二ページに大きく載ったのは繁盛する呉服商の鮮やかな錦絵。それは一八七二(明治五)年、大阪本町に開店した「紅忠」、すなわち丸紅と伊藤忠商事の嚆矢の姿である。錦絵は両社それぞれのコーポレートカラーである赤、青で染め分けられ、創業同根の両社の今日の発展が伝わってくる。しかし……。
「なんだ、これは!」
広告に、丸紅の國分文也会長が激怒した。伊藤忠に丸紅が買収されるかのような印象を与えるというのだ。いや、この「紅忠」広告は創業百五十周年に当たり、伊藤忠の石井敬太社長、丸紅の柿木真澄社長が意気投合して決めた記念企画。昨年十一月二十七日には、創業者である近江商人・初代伊藤忠兵衛の百二十周年忌法要に、両社首脳が揃って参列している。
國分氏の怒りは見当違い、あるいは不仲の柿木氏への当て付けではないか。三年前、國分案件だった北海・メキシコ湾の石油・・・
昨年十二月二十一日付の日本経済新聞に、総合商社二社の共同広告が掲載された。キャッチコピーとともに、見開き二ページに大きく載ったのは繁盛する呉服商の鮮やかな錦絵。それは一八七二(明治五)年、大阪本町に開店した「紅忠」、すなわち丸紅と伊藤忠商事の嚆矢の姿である。錦絵は両社それぞれのコーポレートカラーである赤、青で染め分けられ、創業同根の両社の今日の発展が伝わってくる。しかし……。
「なんだ、これは!」
広告に、丸紅の國分文也会長が激怒した。伊藤忠に丸紅が買収されるかのような印象を与えるというのだ。いや、この「紅忠」広告は創業百五十周年に当たり、伊藤忠の石井敬太社長、丸紅の柿木真澄社長が意気投合して決めた記念企画。昨年十一月二十七日には、創業者である近江商人・初代伊藤忠兵衛の百二十周年忌法要に、両社首脳が揃って参列している。
國分氏の怒りは見当違い、あるいは不仲の柿木氏への当て付けではないか。三年前、國分案件だった北海・メキシコ湾の石油・・・