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政治

地方選挙に見る「老衰ニッポン」

無投票だらけの「名ばかり民主主義」

2023年2月号

 日本の民主主義は、地方から崩れ去ろうとしている。
 昨年十二月に投開票が行われた茨城県議会議員選挙は、県内だけでなく地方自治のプロ集団を自任する総務省にも大きな衝撃を与えた。自民党現職県議が十人も落選したことにではない。県議選の投票率がついに四割を割り、三八・五四%にとどまったことに、だ。
 名官房長官と謳われた故・梶山静六がまだ県議だった昭和の昔、県政を襲った黒い霧事件によって統一地方選の約四カ月前に実施されるようになった茨城県議選は、統一地方選の動向を占う先行指標になってきた。
 終戦直後の昭和二十二年四月に始まった統一地方選挙は、今年で二十回を数える。連合国軍総司令部(GHQ)が主導した民主化によって、有権者の大多数が投票所に足を運んだ統一地方選初回の都道府県議選投票率は、八一・六五%を記録した。最高は二回目の八二・九九%で、以降右肩下がりが続き、前回は四四・〇二%とほぼ半減した。
 しかも前回の統一地方選で知事選から市区町村議選に至るすべての地方選で、投票率は五割を割り込んだ。茨城県議選から予測すれば、四月九日に投開票される四十一道府県・・・