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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》鉄門倶楽部

腐乱する医療界の「総本山」

2023年1月号

 東京・上野の不忍池に程近い無縁坂を上ると、右手に東京大学医学部附属病院の「鉄門」がある。東大医学部の同窓会「鉄門倶楽部」の名称はこの門に由来し、医療界で同学部卒業生は「鉄門出身」と呼ばれる。明治以来、日本の医師育成を牽引してきた鉄門倶楽部こそ、医療界のポストやカネの差配を通じて堕落が進み、自浄作用が働きにくい業界体質にし、健全な医療をゆがめた総本山だろう。
 鉄門倶楽部の誕生は、明治三十二年(一八九九年)四月。同月十一日に東京・神田の料亭「神田開花楼」で医科大学選手競漕者のための慰労会が行われた際、「学生の運動を奨励し、関係者の親睦をはかる」ことが提案され、その十九日後に発足した。
 歴代の会員には、東京医学校時代の明治九年(一八七六年)の初の卒業生三十一人以降の約一万四千七百人の東大医学部医学科の卒業生(物故者を含む)のほか、東大の他の学部や他の大学出身者で東大医学部の教員となった約二百人が名を連ねる。
 昭和二十四年(一九四九年)に月刊『鉄門だより』を創刊、理事会も創設され、現在の体制が整った。その運営方針は、私立の慶應義塾大学のOB会「三田会」の「・・・