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WORLD

「サイバー脅威」が身近に迫る一年

ハイム・トメール (元モサド最高幹部)

2023年1月号

 ―二〇二三年、世界にはどんなリスクが待ち受けていますか。

 トメール 米国は保守(右派)とリベラル(左派)の分断が広がり苦しんでいるが、世界的に見ても西側の民主主義国家がこれまで以上に不安定化するだろう。西側諸国の指導層は特に弱体化しており、経済はますます弱々しくなり、社会的格差は広がる一方だ。その上、SNSなどの新しいメディアが生み出す混乱が不安定化の要因になる。一方、中国やロシア、イラン、北朝鮮などの非民主国は国内の支配を強化するだろう。こうした国々が各地域で台頭することが、民主主義陣営の弱体化を加速させる可能性がある。さらにイランと北朝鮮による核兵器の獲得は、国際的な不安定さを後押しする。
 経済面ではハイテク市場が縮小し、天然資源の価格高騰などの問題がさらに顕著になり、さまざまな資金の流れが鈍ることで世界的な経済危機と景気後退が避けられないのではないか。
 そして二三年は、軍事対立の懸念もあちこちで顕在化しかねない。

 ―二二年の・・・