「ペガサス」「プレデター」「グラファイト」―。読者がこんな名前を聞いて、すぐに反応されたなら、立派にその筋の人間だ。
　知らない間に他人のスマホやパソコンに忍び込み、その情報をごっそりとすくい上げるスパイウェアが、急速に世界中で拡散している。悪いことに、その種類の活動が必要な人は、非常に高い確率で自分も誰かに監視されている。

Ｗ杯カタール渡航者は要注意

　サッカーのワールド・カップで、日本チーム応援のためカタールに渡航した人には、心配な話がある。カタール政府は訪問客に、スマホで二種類のファンＩＤ登録を義務付けた。一つは「新型コロナウイルス感染対策」アプリをうたい、もう一つの「ヘイヤ・カード」は、スタジアムへの無料送迎バスなど様々な特典を付けた。
　厄介なことに、この二つともカタール政府のスパイウェアだった。ドイツやフランスなど欧州各国は、「使い捨て携帯を持っていくように」「中身が空っぽの携帯を使いなさい」などと渡航者に勧告した。二種類のスパイウェアは、所有者の居場所や通話を特定するだけでな・・・