米国のドナルド・トランプ前大統領について、二〇二一年一月六日の米連邦議会議事堂襲撃事件を調べてきた下院特別委員会が、「反乱の扇動」など四つの容疑で刑事訴追すべきだと勧告した。司法省はすでに大規模な捜査態勢を組んでおり、米史上初めてとなる「大統領経験者の起訴」が視野に入った。
　トランプ氏は下院や捜査当局の動きを「魔女狩り」として、ホワイトハウス再挑戦の追い風にする意向だが、共和党支持層の間ではこれを機に世代交代を求める声が広がり始めた。二三年は年明け早々から、共和、民主両党で二四年の大統領選をにらんで、緊迫の展開になる様相だ。

世論調査が示した地殻変動

　特別委の勧告について、トランプ氏は「この連中は何にもわかっちゃいない」と一蹴した。「自由を愛する人々は、必ず私の応援に駆けつけてくれる。（特別委の決定は）私を強くしてくれる」というのである。
　ところがその「人々」の意向には、このところ異変が目立つ。
　十二月の各種世論調査では、「次回の大統領選が、バイデン対トランプだったら、・・・