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政治

五輪汚職「森喜朗」は放免なのか

巨悪に弱腰「特捜検察」の本性

2022年10月号

 東京地検特捜部にはさまざまな都市伝説があるが、最たるものの一つは「二度と首相経験者を逮捕しない/できない」組織タブーを抱えているという説だろう。特捜神話の頂点は言うまでもなくロッキード事件(一九七六年)の田中角栄元首相逮捕にある。一般には「総理の犯罪」「巨悪を眠らせない」といった標語と共に、たとえ首相経験者であっても逃がさない「最強捜査機関」の勲章と思われているが、実は決して公に認めることのない密かなトラウマになっているというのだ。
 検察は準司法権を担うとはいえ、国家行政組織の一部門である以上、社会の公正だけでなく、国家の健全な安定も目標としている。田中逮捕は元首相をも上回る強権を派手に見せつけた半面、その後の政界が「闇将軍」の率いる「田中軍団」に支配される異常な政治構造を生んでしまった。法相ポストは常に親田中系が握り、政治とカネの腐敗が進んだ。検察歴代上層部には「元首相逮捕という強権発動が結果的に政治をゆがめ、国家を不安定にしたのではないか」という反省がある。田中逮捕には米国陰謀説や中曽根康弘氏ら「巨悪の本命」を逃した疑惑もつきまとった。田中逮捕の再現を期待する大衆から・・・