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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》防衛研究所

国防予算増額の「別働隊」

2022年12月号

 ロシア軍のウクライナ侵攻を通じて、防衛省防衛研究所(防研)が脚光を浴びている。防研所属の研究者が連日連夜、ニュース番組やワイドショーに登場し、戦況の詳しい解説を行う。
 防研の兵頭慎治・政策研究部長、高橋杉雄・防衛政策研究室長をテレビで見ない日はないといっていいほどだ。ロシア研究者の山添博史・主任研究官や長谷川雄之・研究員、終戦研究を専門とする千々和泰明・主任研究官らも登場し、戦況を分析する。
 十八万人のツイッター・フォロワーを持つ小泉悠・東京大学先端科学技術研究センター専任講師とともに、日本では防研がウクライナ戦争の数少ない「勝ち組」となった。
 従来、メディアの戦況解説では防研の出番はあまりなかった。一九九一年の湾岸戦争や二十一世紀初頭のアフガニスタン戦争、イラク戦争では、故江畑謙介ら在野の軍事評論家に取材が集中した。
 防研の専門家に取材しても、上層部の許可を取るのに時間がかかった。新聞が短いコメントを掲載するまでに一週間かかることもザラで、メディアの側も敬遠した。防研の研究者も自衛隊員であり、発言にはおのずから制約が求められた。{br・・・