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政治

岸田の試練「改造と解散」

「冬政局」は荒れ模様に

2022年12月号

 秋の日は釣瓶落とし―。十一月二十一日午後六時四十分過ぎ、夕闇の中に首相岸田文雄(六五)を乗せた首相専用車が母校の早稲田大学の大隈庭園に到着した。車を降りると岸田は徒歩で庭園内に古民家を移築した「完之荘」に入った。大広間には元首相森喜朗(八五)、元自民党参院議員会長の青木幹雄(八八)、青木の長男で参院議員の一彦(六一)、そして紅一点の自民党組織運動本部長の小渕優子(四八)ら国会稲門会の議員が岸田の到着を待っていた。
 この会合は内閣支持率の低迷で窮地に立つ岸田を励まそうと森が呼び掛けたものだった。幹事役は元石破派の弁護士でもある山本有二。しかし、会合は岸田の単なる激励会以上の意味をもった。話を聞きつけた自民党の長老は思わず「これは事件だ」と語った。青木幹雄が姿を見せたからだった。
 青木は今年の初めに体調を崩してからは、個人事務所にも顔を出すことがなくなった。毎週水曜日に麻雀卓を囲むことだけが青木の動静を伝える唯一の情報だった。
 その青木は茂木派を率いる自民党幹事長茂木敏充(六七)を「旧竹下派を簒奪した謀反人」(青木側近)として今も反茂木の立ち位置を変え・・・