皇室の風 第172話
天皇家の執事Ⅹ
岩井 克己
2022年12月号
「ハーバードなど皇室とは何の関係もありません」
平成十六(二〇〇四)年の皇太子(当時)の人格否定発言の直後、宮中で一体何があったのかと取材した金澤一郎・皇室医務主管(当時)が、推測か譬え話か独り言のようにつぶやいた謎のひと言が、今も気になっている。
「雅子のキャリアや、そのことに基づく雅子の人格を否定された」との皇太子の告発が、こんな類いの言葉を浴びたことだったとすれば辻褄は合う。
当時、金澤は御所と東宮や皇太子妃の親族、医師ら幅広い関係者と非公式に接触し、収拾に尽力していた。とっさに真相が口を突いて出たか、ヒントを残してくれたのではなかろうか。
その頃、一部で皇太子夫妻の米国訪問計画が取り沙汰され、「雅子妃が母校・ハーバード大学を訪ねれば、皇室の存在感が増し、日米親善にも役立つ」などと囃し立てるような記事が雑誌などに載ったりしていた。皇太子妃の学歴、語学力、キャリアを称揚し、やみくもに「皇室外交」を期待するような上滑りの風潮に流されぬようにクギを刺されるような場面があったとすれば、無理からぬことだったとも思う。言われた側のプライドは傷つく・・・
平成十六(二〇〇四)年の皇太子(当時)の人格否定発言の直後、宮中で一体何があったのかと取材した金澤一郎・皇室医務主管(当時)が、推測か譬え話か独り言のようにつぶやいた謎のひと言が、今も気になっている。
「雅子のキャリアや、そのことに基づく雅子の人格を否定された」との皇太子の告発が、こんな類いの言葉を浴びたことだったとすれば辻褄は合う。
当時、金澤は御所と東宮や皇太子妃の親族、医師ら幅広い関係者と非公式に接触し、収拾に尽力していた。とっさに真相が口を突いて出たか、ヒントを残してくれたのではなかろうか。
その頃、一部で皇太子夫妻の米国訪問計画が取り沙汰され、「雅子妃が母校・ハーバード大学を訪ねれば、皇室の存在感が増し、日米親善にも役立つ」などと囃し立てるような記事が雑誌などに載ったりしていた。皇太子妃の学歴、語学力、キャリアを称揚し、やみくもに「皇室外交」を期待するような上滑りの風潮に流されぬようにクギを刺されるような場面があったとすれば、無理からぬことだったとも思う。言われた側のプライドは傷つく・・・