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社会・文化

世界で悪化する「精子欠乏症」

「繁殖力低下」が少子化に拍車

2022年12月号

 世界規模での人口減少を予感させる研究が大きな波紋を投げかけている。十一月十五日、イスラエルと米国などの共同研究チームが、英『ヒト生殖アップデイト』誌に発表した論文である。精子濃度・精子数が減り続けているというのだ。しかも二〇〇〇年以降に加速している。それは、精子減少の原因となる生活習慣や環境因子が世界中で蔓延していることを意味する。精子障害は不妊の大きな原因だが、この問題に、わが国では反応が鈍いのが現状だ。
 この研究は、二〇一四~一九年に発表された精子濃度や精子数に関する八百六十八の論文、二千九百三十六の抄録を対象としたメタ解析だ。メタ解析とは、過去に発表された研究をまとめて解析したもので、臨床医学では、もっともエビデンスレベルが高いと考えられている。
 解析により三十八の研究が基準を満たし、ここから四十四の精子数・精子濃度の推定値が得られた。その結果、精子濃度は一九七三~二〇一八年の間に五一・六%減少していた。減少速度は、七三年以降は年平均一・一六%だったのが、二〇〇〇年以降は二・六四%に加速していた。精子濃度が一定以下になると通常の性交渉では妊娠できず、人工・・・