米国政治が中間選挙を経て、ドナルド・トランプ前大統領に対する各種捜査に焦点を移した。ジョー・バイデン大統領率いる民主党政権は、特別検察官を任命し、二〇二四年の大統領選の予備選シーズンが始まる前に、「大統領の犯罪」にメスを入れる構えだ。
　共和党内ではこれを機に、「脱トランプ」を図る勢力とトランプ支持派の暗闘が激化している。民主党内にも、十一月で八十歳になったバイデン大統領で次期選挙に臨むのか否か、駆け引きが始まっている。

ホワイトハウスが対策室設置

　十一月十五日。トランプ前大統領が再出馬を表明した時、首都ワシントンのホワイトハウスで、誰よりも喜んだのは、バイデン大統領その人である。
「バイデン大統領はふだんから、『あの男を負かすのは自分しかいない』と側近に語っている。自身の支持率は四〇％台に低迷しているが、トランプが出てくれば、党内がバイデン再選で固まると考えている」と、在ワシントンの米紙政治記者は言う。
　ホワイトハウス内では「トランプ・プロジェクト」という特別班が設けられ・・・