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ウクライナ「政権腐敗」の新局面

汚職「新興財閥」で新旧交代

2022年12月号

 ロシアによるウクライナ侵攻は、敗北と屈辱を重ねながら厳しい冬を迎えた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が苦悩を深める中、ウクライナでは休戦をにらんだ新体制作りが進んでいる。
 ロシア軍侵攻以前のウクライナは、少数のオリガルヒ(新興財閥)が政治と経済を握っていた。戦争が一段落すれば、新しいオリガルヒたちが彼らにとって代わりそうだ。その主役候補は、ボロジミル・ゼレンスキー大統領の下で働いた閣僚や政府高官たちだ。
 米国や欧州連合(EU)は、支援条件として「汚職追放」を強く求めた。新エリートたちは、米欧の要求を錦の御旗のように使って、権力と富の集中を進めている。
 十一月上旬、南部の主要都市ヘルソンからロシア軍が撤退を急いでいる時、ゼレンスキー大統領は新たな政令を出した。「戦時大権」を使って、オリガルヒ所有の石油精製会社、エンジン製造会社など大手五社の経営権を握ったのだ。二月以降、たびたび実施している資産接収の最新版だった。
 五社のオーナーには、ゼレンスキーを大統領候補に担ぎ出した大富豪、イホル・コロモイスキーもいた。彼は一時、米国に逃れようと・・・