《世界のキーパーソン》李強 ( 中国次期首相)
習近平の忠臣「之江新軍」の出世頭
2022年11月号
中秋節(旧暦八月十五日)の頃、中国・銭塘江の河口では、潮波が大きな壁のようになって、川を逆流する現象が起きる。天下の奇観で、「水滸伝」の人気者、魯智深が死を迎える場面にも使われた。
中国共産党総書記として三期目に入った習近平はその昔、コラムニストだったことがある。二〇〇三年、浙江省の党委員会書記だった時、地元紙「浙江日報」の一面に、「之江新語」というコラムを書き始め、四年余り続けた。之江とは銭塘江の別名だ。
残念ながら、このコラムは現在閲覧不可能である。だが、この頃に浙江省で党や行政の幹部だった者にとっては必読文献で、何があってもコラムを熟読しなければならなかった。習は〇七年、上海市党委書記になり、コラムは終了したが、浙江省で仕えた部下たちは習に連絡を絶やさず、動静を追い続けた。彼らはやがて「之江新軍」として習を支える重要人脈となった。
十月の共産党大会で、習に次ぐ党内序列二位に大抜擢され、次期首相(国務院総理)就任が決まった李強は、之江新軍の代表格である。何せ習の浙江省時代に、同省の党委秘書長を務めていたのだ。
李は一九五九年に、浙江・・・
中国共産党総書記として三期目に入った習近平はその昔、コラムニストだったことがある。二〇〇三年、浙江省の党委員会書記だった時、地元紙「浙江日報」の一面に、「之江新語」というコラムを書き始め、四年余り続けた。之江とは銭塘江の別名だ。
残念ながら、このコラムは現在閲覧不可能である。だが、この頃に浙江省で党や行政の幹部だった者にとっては必読文献で、何があってもコラムを熟読しなければならなかった。習は〇七年、上海市党委書記になり、コラムは終了したが、浙江省で仕えた部下たちは習に連絡を絶やさず、動静を追い続けた。彼らはやがて「之江新軍」として習を支える重要人脈となった。
十月の共産党大会で、習に次ぐ党内序列二位に大抜擢され、次期首相(国務院総理)就任が決まった李強は、之江新軍の代表格である。何せ習の浙江省時代に、同省の党委秘書長を務めていたのだ。
李は一九五九年に、浙江・・・