「人質司法」は日本の恥部
高野 隆(弁護士)
2022年11月号
―日本の刑事司法手続きの問題点はなんでしょう。
高野 容疑者の身柄を長期間にわたって拘束して自白を強要する「人質司法」が当たり前になっている。そもそも逮捕とは、犯罪の疑いのある人を司法のレールに乗せるための手続き。逮捕後は遅滞することなく裁判官のもとに連れて来なければならない。
米英の法体系では七十二時間以内に、裁判官のところに連行しなければならないと決められている。これは、警察に身柄を置いて自白を強要するのを防ぐルール。裁判官の前で罪状認否をして、そこですぐに身柄を釈放するのが原則だ。しかし日本では、長期間勾留し続けるのが原則。しかも、警察や検察による尋問を拒否できない「取り調べ受忍義務」がある。
―原因はなんですか。
高野 黙秘権を保障した憲法三十八条一項の解釈がずれている。「自己に不利益な供述を強要されない」という条文が「無理やり自白させられない」と理解されている。実際には「対立する側の証人になることを強制されない」と理解すべき・・・
高野 容疑者の身柄を長期間にわたって拘束して自白を強要する「人質司法」が当たり前になっている。そもそも逮捕とは、犯罪の疑いのある人を司法のレールに乗せるための手続き。逮捕後は遅滞することなく裁判官のもとに連れて来なければならない。
米英の法体系では七十二時間以内に、裁判官のところに連行しなければならないと決められている。これは、警察に身柄を置いて自白を強要するのを防ぐルール。裁判官の前で罪状認否をして、そこですぐに身柄を釈放するのが原則だ。しかし日本では、長期間勾留し続けるのが原則。しかも、警察や検察による尋問を拒否できない「取り調べ受忍義務」がある。
―原因はなんですか。
高野 黙秘権を保障した憲法三十八条一項の解釈がずれている。「自己に不利益な供述を強要されない」という条文が「無理やり自白させられない」と理解されている。実際には「対立する側の証人になることを強制されない」と理解すべき・・・