日本の高等教育が、国を支える高度な人材育成という「明治維新の初心に戻った」といってもいい大改革だろう。
　東京大学が開設したメタバース工学部である。
　メタバースはいうまでもなくインターネット上に構築された三次元の仮想空間であり、人はアバター（分身）をつくって参加する。現状では企業がＥコマースの延長のバーチャル店舗やイベントなどに活用することが多いが、ネット環境さえあれば参加者のいる場所を問わない「空間非制限性」が教育に向くと指摘されてきた。
　東大メタバース工学部は目的が大きく二つに分かれる。ひとつが中高生やその保護者、教師を対象に工学分野の実際や魅力を伝え、進路決定の参考にしてもらおうという「ジュニア講座」だ。

主眼は「リスキリング講座」

　もうひとつが社会人や大学生、院生などに人工知能（ＡＩ）や通信、情報などの実践的工学教育を行う「リスキリング講座」だ。
　ジュニア講座はある意味で、東大自らの志願者吸引という意味もある。受験生の世界では、東大理工系離れが進んでい・・・