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連載

日本の科学アラカルト 147

ニッチなエネルギー利用 「圧力」を使った発電技術開発

2022年11月号

 我々人類は多種多様な発電法を実用化している。現在、最もシェアが大きいのは、いわゆる発電機を回転させる方法だ。回転させる手段として、化石燃料を燃やして水蒸気を発生させてタービンを回転させたり、水や風の力を利用している。原子力発電も熱源が核分裂エネルギーになっただけで、発電の原理自体は通常の火力発電と変わりない。近年一気に拡大しているのが太陽光発電だ。太陽の光エネルギーを電気に変換する半導体によって電気を得る。
 変わった所では熱電効果を使った発電が知られている。これは温度差があると発電する熱電素子を使って発電するもので、実用化されているものもある。
 今回注目するのは、圧力を利用して電気を得る手法だ。
 圧電効果―。特定の物質に圧力を加え変形すると電気が生じる。反対に電気を加えることで出力することもできる。そんな物質があり、その能力を持つ受動素子は「圧電素子」として実用化されている。圧力が加わって電気信号を生み出すことを利用して、マイクや圧力センサとして使われていることが多い。しかし実際に電気エネルギーを得る発電として利用するケースもある。人が床を踏みしめ・・・