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政治

誰も支えぬ「岸田政権」

山際更迭「孤立の宰相」の限界

2022年11月号

「有事に対応する『政策断行内閣』として、山積する課題に対し経験と実力を兼ね備えた閣僚を起用した」
 これは首相岸田文雄が八月十日に断行した内閣改造後に行われた記者会見での発言だ。それから約三カ月。完全に失敗人事だったことは誰の目にも明らかだ。世論調査で七割近くの国民が辞任を求めた前経済再生担当相の山際大志郎の起用はその失敗の象徴だ。
 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係が浮かび上がって以来の山際の言い訳、釈明は常軌を逸していた。ところが山際自身は“後出し”“瀬戸際”と言葉の飛礫を浴びせられても恬として恥じるところがなかった。そんな山際に岸田が強権を発動して閣僚更迭に踏み切ったのは十月二十四日の夕。辞表を携えて首相官邸に現れた山際の表情にはなお強い未練が漂った。辞任後の記者団との対応でも悪びれた様子は一切なかった。
「これからの国会審議を考えた時にこのタイミングを逃すわけにはいかないと思った」
 むしろ岸田が発してもおかしくない言葉が山際の口から飛び出した。岸田は完全に山際の性格、行動様式を読・・・