英国首相の「黒いキングメーカー」
スナク政権誕生の「裏事情」
2022年11月号
ヘッジファンドから石油メジャー、再びファンド―。
英国で相次ぐ首相交代は、英保守党がいかに国際金融業界とエネルギー産業に操られているかを垣間見せた。初のインド系で、四十二歳という若さが話題のリシ・スナク新首相は自らも大富豪で、英国の一般市民が夢想すらできない世界の住人である。
議会制民主主義を最初に確立し、G7(主要七カ国)メンバーでもある国の政治は、世界のマネーの草刈り場になっている。とりわけ「リバタリアン」と呼ばれる米国の右翼が、影響力を増している。
スナク首相の一家は、英植民地帝国の産物だ。首相の二人の祖父は、英領インドの行政官。英領東アフリカでも植民地行政官を務め、第二次世界大戦後に渡英した。
教育熱心な家庭で、スナクは上流階級子弟が進むボーディング・スクール(寄宿学校)に送られ、オックスフォード大学に進んだ。米国のスタンフォード大学留学中に、同じく留学中のインド女性と恋に落ち、結婚した。
彼女はただものではなかった。インドIT大手「インフォシス」社の共同創業者、ナラヤナ・ムルティの娘だ。彼女は同社株を〇・九三%保有・・・
英国で相次ぐ首相交代は、英保守党がいかに国際金融業界とエネルギー産業に操られているかを垣間見せた。初のインド系で、四十二歳という若さが話題のリシ・スナク新首相は自らも大富豪で、英国の一般市民が夢想すらできない世界の住人である。
議会制民主主義を最初に確立し、G7(主要七カ国)メンバーでもある国の政治は、世界のマネーの草刈り場になっている。とりわけ「リバタリアン」と呼ばれる米国の右翼が、影響力を増している。
スナク首相の一家は、英植民地帝国の産物だ。首相の二人の祖父は、英領インドの行政官。英領東アフリカでも植民地行政官を務め、第二次世界大戦後に渡英した。
教育熱心な家庭で、スナクは上流階級子弟が進むボーディング・スクール(寄宿学校)に送られ、オックスフォード大学に進んだ。米国のスタンフォード大学留学中に、同じく留学中のインド女性と恋に落ち、結婚した。
彼女はただものではなかった。インドIT大手「インフォシス」社の共同創業者、ナラヤナ・ムルティの娘だ。彼女は同社株を〇・九三%保有・・・