ドナルド・トランプ前大統領に対する米司法当局の捜査が、経済犯罪から反乱扇動まで各方面で急進展している。
　中でも昨年一月六日に起きた米議会議事堂襲撃事件（一・六事件）では、九百人以上も起訴に持ち込み、前大統領の関与について証拠固めが進んでいる。米国の大統領経験者として、史上初めて起訴されるとの見方が強まっている。
　トランプ氏が二〇二四年の大統領選出馬に意欲を示していることから、司法関係者の間では「起訴に持ち込むなら、来年春がタイムリミット」との見方が有力だ。トランプ陣営と司法当局の攻防は、今冬が最大の山場となる。

「違法で違憲な活動を指揮した」

　トランプ氏への捜査は大別すると、五つの事件で進行中だ。
　まずニュースを独占したのが、在任中の機密文書を持ち出して、フロリダ州マララーゴの自宅に隠匿していた事件だ。ワシントン・ポスト紙は十月下旬、「機密文書にはイランと中国に関するトップ・シークレットが含まれる」と報じ、米国の安全保障に直結する重大案件が絡んでいると示唆した。
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