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社会・文化

ワイン産業も 「持続可能性」の時代

環境や公正取引が「主要課題」に

2022年11月号

「サステイナブル」はワイン産業でもキーワードになってきた。各地の生産者団体が熱心に唱えているが、手法や道筋は十人十色で矛盾や課題をはらんでいる。
 日本の輸入業者や消費者はそもそも、ワイン産業におけるサステイナビリティの意味を正確に理解していない。オーガニックやバイオダイナミックなどの農法と混同している人も少なくない。両方ともサステイナブル・ファーミング(持続可能な農業)の要素の一つではあるが、必要条件ではない。農薬や除草剤を使わずにオーガニック栽培をしても、ディーゼル・トラクターで排ガスを撒き散らしたらサステイナブルではない。健全な土壌や生物多様性を保つのは大切だが、直面する気候変動に対処する幅広い視野が求められている。

重すぎる瓶

 二〇二一年のフランスは、霜害や長雨に伴う病害でワイン生産量は歴史的に少なかった。今年は打って変わり、昨年を一八%上回る豊作となった。温暖化や豪雨など不安定な気候を抑止するには、生産過程の二酸化炭素排出量を減らす必要がある。そのための早道が包装の簡易化だ。
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