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経済

日産とルノーの不都合な真実

出資比率「対等」に潜む危うさ

2022年11月号

 日産自動車と仏ルノーがいびつな資本関係の見直し協議に入った。多くのマスコミが「長年、日産が押し付けられてきた不平等条約を改定する好機」と報じているが、本当にそうなのか。
 少々複雑だが現状を整理しよう。ルノーは日産に四三%を出資、日産はルノーに一五%を出資している。しかもルノーの出資比率が四割を超えているため、フランスの会社法の規定により日産が持つルノー株には議決権がない。保有比率に三倍近い差があるうえ、さらに日産が一五%を持つルノー株には議決権がないことで両社の関係は「不平等」と言われ続けてきた。
 そもそもこうしたいびつな状況に陥ったのは、日産の自業自得でもある。経営危機に陥った日産は一九九九年にルノーと資本提携する形で事実上救済され、カルロス・ゴーン氏が最高執行責任者(COO)として日本に派遣されてきた。その後、ゴーン氏が辣腕を振るい日産を立て直してきたのは周知の事実だ。
 この「不平等な資本関係」にとうとうメスが入ろうとしている。基本となっている案は、お互いの出資比率を一五%にすること。要するにルノーが出資比率を引き下げて、出資比率を対等にすると・・・