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政治

選挙区「十増十減」を巡る自公の妄動

有権者不在の暗闘たけなわ

2022年11月号

 衆議院議員を代議士と呼ぶ理由は、公選を経て国民に代わり立法を担うからだ。地域代表の性格が強くても、多様な地域の事情を国政に反映させる効用もあり、選挙区が公平、公正に設定され、要件を満たした個人が自由に立候補できる限り、「全国民を代表」と定めた憲法に反するとも言われない。その前提が、小選挙区の数を十増十減する作業を通じ、政党や政治家のエゴで崩れ始めている。
 選挙区を私物のように扱う風潮は、二〇二二年夏の参議院選挙の後、自由民主党幹事長の茂木敏充が公明党の支持母体である創価学会会長の原田稔と「選挙部長」の異名を持つ副会長・佐藤浩らと会食した頃から露骨になった。
 会食には「手打ち」の意味合いがあった。二二年参議院選挙では、それ以前の参議院選挙で自民、公明両党の本部がそれぞれの選挙区候補を自動的に推薦してきた「相互推薦」方式が踏襲されず、両党の溝が露呈した。結果として、両党とも比例代表での得票数が二一年衆議院選挙より減り、とりわけ公明党は、自民党候補の推薦を見送った岡山選挙区で自民党現職・小野田紀美の圧勝を見せつけられるなど、屈辱も味わった。
 両党の反目は・・・