韓国映画が増幅する「社会分断」
銀幕でも対立する保守と革新
2022年11月号
「キングメーカー 大統領を作った男」(ビョン・ソンヒョン監督)が今年八月から日本各地で順次公開されている。物語の始まりは一九六一年、独裁政権時代の韓国だ。主人公のソ・チャンデ(イ・ソンギュン)は、野党・新民党のキム・ウンボム(ソル・ギョング)の選挙事務所を訪ね、選挙に勝つための戦略を提案する。当選のためなら手段を選ばないチャンデのお陰で、ウンボムは国会議員になり、大統領選候補者にまでたどりつく。同時に、民主主義や人権という理想を大切にするウンボムは、最後にチャンデと決別する。
これは韓国でいま流行っているファクション映画だ。事実(ファクト)に基づいた創作(フィクション)という意味だ。ウンボムのモデルは金大中元大統領。チャンデは、約十年にわたり、選挙参謀を務めた厳昌録氏。劇中では民主共和党になっている政権与党が金権選挙を全面的に展開し、ワイシャツや靴を有権者に配りまくる。チャンデを自陣営に寝返らせようと、カネで誘ったり、暴力で脅したりする。ウンボムは政治的な脅迫に負けず、社会的に弱い人のために戦う。
数多くの人々を弾圧し、苦しめてきた軍事独裁政権とKCIAに批判的・・・
これは韓国でいま流行っているファクション映画だ。事実(ファクト)に基づいた創作(フィクション)という意味だ。ウンボムのモデルは金大中元大統領。チャンデは、約十年にわたり、選挙参謀を務めた厳昌録氏。劇中では民主共和党になっている政権与党が金権選挙を全面的に展開し、ワイシャツや靴を有権者に配りまくる。チャンデを自陣営に寝返らせようと、カネで誘ったり、暴力で脅したりする。ウンボムは政治的な脅迫に負けず、社会的に弱い人のために戦う。
数多くの人々を弾圧し、苦しめてきた軍事独裁政権とKCIAに批判的・・・