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WORLD

アフガンはまた「過激分子」の巣窟に

世界にテロをバラ撒く危険性

2022年11月号

 アフガニスタンに新たな紛争の影が迫っている。
 二〇二一年八月のタリバンによる政権奪取以降、再びイスラム過激派の勢いが増しているのだ。ただ、今度の主役はタリバンやアルカイダではない。彼らと対立状態にある「ホラーサーン州のイスラム国(IS-K)」だ。
 IS-Kは、一五年、「パキスタン・タリバン運動(TTP)」の地方司令官ハーフィズ・サイード・カーンが「イスラム国(ISIS)」に忠誠を誓ったことで結成された。タリバンの政権奪取後、IS-Kには旧政権軍の一部が加わり、シリアやイラクからもISISの残党が次々と集まっている。
 米軍撤退が進む昨年八月二十六日、IS-Kは、カブールの国際空港で米軍十三人を含む百七十人以上が死亡する大規模なテロ事件を起こし、一挙に世界的知名度を上げた。 
 二〇一〇年代にイラクとシリアを席巻し、世界的に多くの惨劇を引き起こしたISISが、カリフ制再興というイスラム世界究極のプロジェクトの実現を掲げ、アフガニスタンを中心にIS-Kとして復活を遂げようとしている。

攻勢をかけるイスラム国・・・