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社会・文化

大学受験「偏差値競争」はもう古い

推薦・AO「年内入試」急増の背景

2022年10月号

 偏差値序列で少しでも上位校を目指そうとする戦後日本の大学入試の常識が、全面崩壊しつつある。毎年年明けに始まる大学入学共通テストや各大学のペーパーテストによる入試を避け、前年秋から年末までに実施される指定校推薦や、高校の成績や面接、学力外の才能で入学者を決める一芸入試、「アドミッションズ・オフィス(AO)」方式などで入学する学生が私立大学では過半になったからだ。「子供に入試の苦労を経験させたくない」という保護者が増え、受験生自身も「身の丈志向」があるためともいえるが、偏差値序列の低い大学に優秀な学生が大量に流れるといった異変が起きている。昭和の受験戦争の勝者たちが創り出した「停滞ニッポン」を、「令和の受験戦争回避族」が変革し、日本の転換点になる可能性も出てきた。
「年内入試」という単語が高校の進路指導のキーワードになっている。特定の高校向けに保証された入学枠を与える「指定校推薦」やオープンな推薦枠に個人が応募する「公募推薦」、卒業生の子女や帰国子女などを優先的に入学させる特別枠、スポーツや芸術、技能において秀でた学生を採る「一芸一能入試」など、ペーパーテストをバイパスする入試・・・