朝鮮戦争化するウクライナ
ニーアル・ファーガソン(歴史学者)
2022年10月号
―ウクライナ軍の反転攻勢でロシア軍が苦境に立っていますが、今後どのようなリスクがあるでしょう。
ファーガソン ロシア軍は士気が低く犠牲が膨らんでおり、さらに総崩れになる可能性がある。そうなれば、プーチン大統領が化学兵器や核といった大量破壊兵器を脅しに使うだろう。最大の問題は、米国が「核攻撃があれば核で報復する」という立場の表明を躊躇している点だ。冷戦時代の「抑止」という考え方を失念してしまったかのようだ。ロシアによるウクライナ侵攻の当初から、バイデン政権は「第三次世界大戦は回避しなければならない」と繰り返してきた。プーチンの脅しにあっさりと屈しており、「抑止力」が効かない状態が生じてしまった。実際、米国による武器供給は、「ウクライナを負けさせない」レベルにとどまっている。現状のまま進むとウクライナ軍は今後、南部へルソン州を解放することはできても、東部ドンバス地方の奪還は難しいだろう。
―その場合、戦争はかなり長期化しませんか。
ファーガソン 私は・・・
ファーガソン ロシア軍は士気が低く犠牲が膨らんでおり、さらに総崩れになる可能性がある。そうなれば、プーチン大統領が化学兵器や核といった大量破壊兵器を脅しに使うだろう。最大の問題は、米国が「核攻撃があれば核で報復する」という立場の表明を躊躇している点だ。冷戦時代の「抑止」という考え方を失念してしまったかのようだ。ロシアによるウクライナ侵攻の当初から、バイデン政権は「第三次世界大戦は回避しなければならない」と繰り返してきた。プーチンの脅しにあっさりと屈しており、「抑止力」が効かない状態が生じてしまった。実際、米国による武器供給は、「ウクライナを負けさせない」レベルにとどまっている。現状のまま進むとウクライナ軍は今後、南部へルソン州を解放することはできても、東部ドンバス地方の奪還は難しいだろう。
―その場合、戦争はかなり長期化しませんか。
ファーガソン 私は・・・