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連載

皇室の風 第170話

天皇家の執事Ⅷ
岩井 克己

2022年10月号

 岩井:国策によって過酷な運命を負った人々と直に縁を結び、寄り添おうと努めた両陛下(現上皇夫妻)の積み重ねといえば、先ず沖縄ですね。
渡邉允:沖縄の人たちは厳しい歴史を経て、苛烈な地上戦の犠牲ともなった。それでもなお日本に復帰したいとして、復帰してきた。その後も基地問題を抱え続ける。その沖縄の歴史、文化を本土の人たちも理解しなければならない、ということを言われた。ご自身も沖縄の『おもろさうし』や琉歌などの勉強もされた。
 組踊という沖縄の歌舞劇がありますが、陛下は以前から「そうした伝統芸能のために国立劇場をつくったらどうか」という話を色々な人にしておられた。私は浦添市長をしておられた人から聞いたのですが、平成になってすぐの頃に沖縄を訪れた両陛下の御昼食にその人が県議会議長として陪席したところ、陛下が「組踊のために国立劇場をつくったらいいのではないでしょうか」とおっしゃったという。同席した文部大臣(当時)が「そんなことおっしゃっても予算がありません」と言ったら、同席した重鎮の政治家に「そんなことを言うもんじゃない」とたしなめられたとか(笑)。
岩井:普通に考・・・