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社会・文化

農業利権は再び「肥大化」へ

基本法改正を狙う族議員の深謀

2022年10月号

 農業政策の根幹を定めた食料・農業・農村基本法の改正に向けた作業が始まった。確かに基本法には欠陥があるが、自民党の農林族議員が主導する改正は農業利権の拡大に直結する恐れがある。改正には省庁横断的な関与が不可欠だ。
 九月九日に官邸で開かれた政府の「食料安定供給・農林水産業基盤強化本部」の初会合で、本部長の岸田文雄首相は「法改正を見据え、関係閣僚連携のもと、総合的な検証を行い、見直しを進めてほしい」と指示した。
 関係閣僚として、防衛相らを除いたほぼ全閣僚が出席し、岸田首相は正面に座っていた高市早苗経済安全保障相に語りかけるようにして「食料安全保障の強化と農林水産業の持続可能な成長を推進していくという方針のもとで農林水産政策を大きく転換していく」と、基本法改正の狙いを説明した。
 昨年九月の自民党総裁選で安全保障や成長政略を訴えていた高市経済安保相にとって、「わが意を得た」ことだろう。大きく頷いていたが、残念ながら基本法の改正に彼女の出番はない。
 食料安保を農業政策に取り込み基本法を改正する方針は、半年以上前に自民党農林部会の幹部の間で非公式の合・・・