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経済

三菱重工「原発増設」への渇望

「名門延命」は岸田政権しだい

2022年10月号

「革新軽水炉」とは何なのか―。八月二十四日、岸田文雄首相が自ら議長を務めるGX(グリーン変革)実行会議で「次世代原発の開発・建設」を表明して以来、聞き慣れない“専門用語”ににわかな注目が集まっている。
「命名者は嶋田さんかもしれない。メンバーの人選から議事の選定までGX実行会議を建て付けたのは彼だから……」
 官邸関係者がこう指摘する人物は、首相政務秘書官の嶋田隆氏―。福島第一原発事故後の東京電力の改革などを主導してきた元経済産業事務次官であり、従来、政府・自民党が忌避してきた原発の新増設へ岸田政権に舵を切らせた陰の仕掛人だ。とはいえ、今や原発の新設を受け入れる自治体はない。次世代原発は既存サイトの増設案件に限られる。
 関西電力の美浜四号機、日本原子力発電の敦賀三号・四号機がそれである。いずれも炉型は三菱重工業が手掛けるPWR(加圧水型軽水炉)。今回の政策転換が「三菱重工救済策」と囁かれる所以だ。なぜなら、同社は二〇〇九年稼働の北海道電力の泊三号機を最後に一基も建設案件がないからだ。原子力部門のトップ、・・・