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WORLD

スウェーデン 「移民犯罪団」の猛威

分断進む福祉国家の混沌

2022年10月号

 北欧の福祉国家スウェーデンが変調だ。寛容な移民政策の中で育った移民二世、三世の間で、銃を使った暴力事件が広がり、最近の銃犯罪統計では西欧最悪の水準が続いている。移民の犯罪組織が、スウェーデン社会に入っていけない若者たちを吸い上げ、都市部で勢力を伸ばしている。
 スウェーデンは、ユーゴスラビア内戦やシリア内戦など世界の紛争が起きるたびに、移民を受け入れてきたが、移民たちはスウェーデン人とは相容れない「パラレル社会」を作っている。
 九月の総選挙では、移民政策を支えてきた社会民主労働党が敗北し、スウェーデンの政治社会は大きな変動期を迎えた。
 スウェーデンの首都ストックホルムを訪れる人は、中心部の王宮に目を奪われるはずだ。水に浮かぶように立つ建物群は、北欧の豊かさ、美しさを印象付ける。
 ここから車で二十五分ほど北西に向かうと、全く別の光景が出現する。移民街のリンケビュー地区は、中東出身やアフリカ出身と見られる人々でごった返し、商店はアラブ風の服を大量に売っている。北欧系を見るのはまれだ。

「二つの国」「二つの社会」・・・