中東で過熱する「雲の戦争」
「人工降雨技術」でイランが苦境に
2022年10月号
干ばつが深刻な中東諸国で、雲をめぐる争いが起きている。各国での降雨が目に見えて減る中で、人工的に雨雲を作って雨を降らせる競争が進んでいるのだ。
特定の地域が大気中の水分を集めて雨雲を作れば、周辺の地域で雨が降る可能性はぐんと減る。中東での人工降雨技術開発は、周辺国をピリピリさせている。
中でも干ばつに苦しむイランは、仇敵であるイスラエルや湾岸産油国の人工降雨技術に対して、「我が国の雲を奪っている」と強い敵愾心を抱いている。
今年のイランの水不足は例年以上に深刻なだけに、イラン政府は周辺国への非難を強めている。雲と雨の欠如は、地域の安全保障環境を一段と悪化させている。
イスラエルとUAEが最先端
人工降雨技術と言えば、中国が世界的リーダーだ。だが、中国では今年、極端な熱波や干ばつに見舞われ、人工降雨技術はほとんど役に立っていない。地球規模で起きる気候変動に対し、局地的な対処では間に合わない・・・