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日本と台湾は「運命共同体」

王尊彦(台湾国防安全研究院准研究員)

2022年9月号

―中国による台湾周辺での大規模演習の真意はなんでしょうか。

 王 中国は米国や台湾を威嚇するためというより、国内に問題を抱えていたからこそ、このような行動に出たのだろう。現在、中国はコロナに起因した経済や財政の難題が噴出して、非常に混乱した状態にある。そして反習近平派の動きは、「三期目突入」を阻止することはできないものの、国内を攪乱するだけの力を持っている。米国のペロシ下院議長の訪台をきっかけに、中国国内での不穏な動きがあり、社会の目を逸らすために強硬手段に出る必要があったのではないか。そもそもペロシ氏訪台は春に予定されていたもので、台湾を軍事的に威嚇するシナリオ自体は複数用意されていただろう。そのため、すぐさま大規模な軍事演習を実施することができた。

 ―台湾情勢への日本の対応についてどう考えていますか。

 王 台湾側は岸田文雄首相が対中穏健派であることを理解している。また、岸田氏が台湾にも好感を持っているのではないかという期待感もある。そして、今年は・・・