三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

《企業研究》電通グループ

「黒幕・高橋」と五輪汚職の根源

2022年9月号

「(社員の)皆様やご家族、また、取引先や株主をはじめとするステークホルダーの皆様に大変なご心配とご面倒をお掛けしていることは心苦しい限りですが、情報発信等は控える必要があることをご理解いただければ誠に幸いです」
 東京五輪・パラリンピックのスポンサー契約を巡り電通元専務で大会組織委員会の理事だった高橋治之が受託収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕された翌日の七月十八日、広告代理店最大手、電通グループの社内掲示板には五十嵐博社長名義でこんな告知が流れた。捜査に支障を来す恐れがあるとして「緘口令」を敷いた形だが、何の事はない。要は「お前らマスコミなどに余計なことをしゃべるんじゃないぞ」と釘を刺したわけだ。
 高橋容疑者の自宅兼事務所や、贈賄側として逮捕された紳士服大手、AOKIホールディングス(HD)前会長の青木拡憲容疑者らの自宅とともに、電通本体にも地検特捜部による家宅捜索のメスが入ったのはその八日後の同二十六日。捜索はスポーツビジネスを扱う電通本社ビル(東京・汐留)十六階のスポーツ局を主対象に早朝から深夜にまで及び「幹部らのパソコンや携帯電話は根こそぎ押収された」(関係者・・・