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社会・文化

臓器移植は「革命前夜」の活況

「不死」の夢追う技術革新が続々

2022年9月号

 今年に入り、米国で医療の技術革新が続いている。ブタの心臓を移植した患者が、六十日間も拒絶反応なく生存したことが報告された。ヒト以外の動物の臓器を移植する異種移植の最大の課題は拒絶反応だ。それを克服した可能性がある。ほかにもブタが死亡してから一時間後に、その心臓・肝臓・脳などの重要臓器の機能を回復させることができたとの研究結果も発表された。臓器を生き返らせたことを意味し、死の定義の見直しにもつながるという。現代医療は「神の領域」に近づきつつあるのだろうか。
 異種移植は、古くは十七世紀の英仏で動物から人への輸血が行われ、二十世紀になり仏のセルジュ・ヴォロノフ医師が、若返りのためチンパンジーやヒヒの睾丸のスライスを男性に、サルの卵巣を女性に移植したが、いずれもキワモノで成功しなかった。
 本格的な始まりは、一九六四年、米ミシシッピ大学の外科医たちがヒヒの心臓を六十八歳の患者に移植した手術だ。拒絶反応のため、九十分しか生きられなかった。その後、八四年に米ロマリンダ大学の外科医たちが、ヒヒの心臓を乳児に移植したところ、直後は順調だったが、二十一日目に死亡した。この手術は、・・・