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イラク「シーア派分裂」の混沌

ぶり返す中東危機の「発火点」

2022年9月号

 熱波にあえぐイラクの首都バグダッドで、中東全域を揺るがす権力闘争が続いている。
 イラク人同士で、同じイスラム教シーア派に属する二つの勢力が、イランに従属するか、独自路線を進むかで激しく争っている。親イラン派は目下、司法機関を握っているが、反イラン派は大衆動員で攻勢に出ている。
 バグダッドの「グリーン・ゾーン」と言えば、イラク戦争(二〇〇三~一一年)の時代に米軍司令部が置かれ、要塞のような堅固な守り、厳しい警備で知られた。
 七月下旬、ムクタダ・サドル師の支持者(サドル派)数百人が、厳重なはずの検問をあっさりとかいくぐり、グリーン・ゾーンに侵入し、国会議事堂を占拠した。
 この時はまもなく退去したが、数日後また、今度はより大勢で襲来し、再び国会議事堂を占拠した。
 全員男性のこの集団は、議事堂などで寝泊まりする。バグダッドのレストランなどからの大量の炊き出しに支えられて、グリーン・ゾーンに住み着いている。
 一定の時間にそろって祈祷するほかは、ゾーン内の噴水に入って涼んだり、思い思いに討論をしたりと、やりたい放題だ。日中の・・・