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経済

「中国インバウンド」は戻らない

観光業界「甘い幻想」の罠

2022年9月号

 コロナ感染拡大前まで、日本全国の観光地、小売業は久方ぶりの好景気に沸いていた。日本の製造業が活力を失い、日本の一人あたり国内総生産(GDP)も低下する中で、中国、韓国からのインバウンド(訪日外国人)の需要は日本経済の新たな牽引車として期待を集めた。二〇二〇年春以降、インバウンドは途絶え、観光業、小売業が思い描いたシナリオは崩れたが、日本には「コロナが終わればインバウンドは戻る」という期待感が根強い。京都をはじめ各地に高級宿泊施設が今なおオープンしているのはそのためだ。だが、中国経済はゼロコロナ政策の副作用にとどまらない深刻な構造問題を抱え、韓国、東南アジアも停滞期に向かっている。インバウンド景気に期待する時代は終わった。
 ホテルオークラ京都 岡崎別邸、デュシタニ京都、バンヤンツリー・東山 京都、リージェント京都、ヒルトン京都、シャングリ・ラ京都二条城……。今年から京都では開業、または開業予定の高級ホテルが目白押しだ。一方、京都駅や大型ホテル前には客待ちタクシーが長い列をつくり、運転手は「三年前は週三、四日だった貸し切り観光は今は月に一・・・