楽天銀行「株式上場」の危うさ
グループ支援で「掟破り」の金策
2022年9月号
楽天グループは、ネットショッピング、銀行、カード、証券会社等々を揃える。そのネットワークの世界を楽天エコシステム(経済圏)と自称し、誇っている。しかし、後発参入したモバイル(携帯電話)事業は大赤字を抱え、泥沼状態である。赤字の穴埋め、さらには追加投資の必要性から、グループ各社には収益圧力が強まっている。そんな中、準備を進めているのが楽天銀行の株式上場である。しかし、こちらも前途多難だ。ご自慢のエコシステムにひび割れが露見してきた。
二月十四日発表の二〇二一年十二月期決算で楽天グループは一千三百三十八億円の最終赤字を記録した。その主因は後発参入したモバイル事業だ。グループ総帥の三木谷浩史氏は強気を崩さず、「歴史的に類を見ない短期間で黒字化を目指している」と強調した。
もっとも、この強気の言葉に納得した向きは少なかった。アナリストの一人は「むしろ、営業損失額がさらに膨らんでもおかしくない」と語る。現に、二二年第2四半期累計決算において、モバイル事業は依然として一千二百四十二億八千百万円という巨額の営業損失を計上した。少なくとも一八年第4四半期(四十八億四百万円の営・・・
二月十四日発表の二〇二一年十二月期決算で楽天グループは一千三百三十八億円の最終赤字を記録した。その主因は後発参入したモバイル事業だ。グループ総帥の三木谷浩史氏は強気を崩さず、「歴史的に類を見ない短期間で黒字化を目指している」と強調した。
もっとも、この強気の言葉に納得した向きは少なかった。アナリストの一人は「むしろ、営業損失額がさらに膨らんでもおかしくない」と語る。現に、二二年第2四半期累計決算において、モバイル事業は依然として一千二百四十二億八千百万円という巨額の営業損失を計上した。少なくとも一八年第4四半期(四十八億四百万円の営・・・