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経済

米株式市場は「大荒れ」の秋に

波乱含みの「弱気相場」は続く

2022年9月号

 米国のインフレはピークアウトし、六月後半から株価は反転上昇してきた。しかし、弱気相場は継続していると考えるのが自然だ。金融環境は厳しく、秋の相場は荒れそうだ。
「皮肉なことだが、金融市場の大幅な上昇はFRB(米連邦準備理事会)に対して、さらなる行動を迫る圧力を強めている」。ニューヨーク連銀前総裁ウィリアム・ダドリー氏は八月、こう述べた。
「六月が大底」説を主張する市場関係者もいるが、いわゆる「ベアマーケット・ラリー(弱気相場のなかの反騰)」と考えられる。三年かけてナスダック総合株価指数が下落したITバブル崩壊では七回の強気相場(二〇%以上の上昇)があった。
 今回も同じになるというわけではないが、ボラティリティ(市場の変動率)が高いナスダック指数では「強気相場入り」は、よくある。
 ナスダック指数は十年の期待インフレ率と逆方向に動きやすいが、相関性が崩れて株価が上昇したことからも、「需給要因(相場の力学)」で動いたといえる。
 ゴールドマン・サックスが公表する「最も空売りされている銘柄バスケット」指数が市場全体の戻りを大きくアウトパフ・・・