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統一教会と北朝鮮の深い関係

金王朝を肥やした「宗教マネー」

2022年8月号

 安倍晋三元首相の殺害事件で、山上徹也容疑者は警察の取り調べに対し、母親が統一教会(現・世界平和統一家庭連合)信者で、安倍氏が統一教会と近い関係だと考えていた事実を明らかにした。統一教会は文鮮明氏(一九二〇~二〇一二年)が創始した。信者は韓国三十万人、日本六十万人など合わせて三百万人にのぼるともされる。信者から莫大な額の献金を得て、様々な企業に投資してきた。なかでも、異彩を放ったのが北朝鮮関連事業だった。
 文氏は一九六八年、反共団体の国際勝共連合を創設し、日本の右翼関係者と関係を深める一方、南北統一事業も推進した。代表例が、統一教会系の平和自動車(本社・ソウル)が北朝鮮との合弁会社として九八年、北朝鮮に設立した平和自動車総会社だった。
 同社関係者によれば、イタリアや中国から自動車部品約二万点を輸入し、北朝鮮・南浦の工場で組み立て生産を行った。二〇〇八年からセダンの「フィパラム(口笛)」やSUV(スポーツ用多目的車)「ポックギ(カッコウ)」などの販売を開始した。フィパラムの一部はタクシー用の車両として使われた。同社幹部は「ポックギは未舗装の悪路が多い北朝鮮で重宝さ・・・