大学「十兆円ファンド」はお先真っ暗
成果なき研究振興に消える税金
2022年7月号
国際的な業績を上げる少数の大学に十兆円のファンドから研究資金を援助する「国際卓越研究大学法」が五月、国会で成立した。巨額の独自基金の運用益によって優秀な研究者を招聘、潤沢な研究費を与え、高い実績をあげるハーバード大学、オックスフォード大学など一部の米欧の大学を模倣した戦略だ。学術論文発表数の国別ランキングの低下など地盤沈下する日本の研究開発を盛り返す狙いだが、資金量の多寡で研究の質が決まるほど学術研究は単純ではない。多くの国立大学が人件費削減のため非正規雇用の研究者を「五年雇い止め」するなかでエリート大学のみの資金優遇策は初めから失敗のタネを内包している。
研究者雇い止め「四千五百人」
卓越研究大学新法はゆがんだ法律だ。ハーバード大など基金によって大学の研究・教育の質を高めている大学は寄付と運用によって蓄積された独自資金を基金としている。その額がハーバードで約四兆五千億円、スタンフォード大学で約三兆円、オックスフォード大学で約八千二百億円にのぼっている。各大学の運用資金は過去二十年で運用益と追加の寄付など・・・
研究者雇い止め「四千五百人」
卓越研究大学新法はゆがんだ法律だ。ハーバード大など基金によって大学の研究・教育の質を高めている大学は寄付と運用によって蓄積された独自資金を基金としている。その額がハーバードで約四兆五千億円、スタンフォード大学で約三兆円、オックスフォード大学で約八千二百億円にのぼっている。各大学の運用資金は過去二十年で運用益と追加の寄付など・・・