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社会・文化

ブルゴーニュワイン 「新時代」の潮流

「異常な高額」が不可避な事情

2022年7月号

 人気も価格も世界的に高まっているブルゴーニュワイン。のどかなブドウ畑の風景は変わらないが、有名ドメーヌではセラーの改装が相次いでいる。暗くてカビ臭かったセラーは減る一方で、樽が整然と並ぶボルドーのように機能的なセラーが増えている。
 バブルが発生して、改装ラッシュの続いた二〇一〇年代以降のボルドーを思い出させるが、商業色の強い有名シャトーとはちょっと事情が異なる。様変わりするブルゴーニュの主役は、世代交代の進む中から現れた若手の栽培醸造家たちだ。彼らが正確で繊細なワイン造りに注ぐ情熱が、醸造設備や畑仕事に反映されている。
 ブルゴーニュの一区画は小さいが、斜面の上部と下部では、表土の厚さも違えば、気温も異なる。「区画によって収穫日は最大で六日もの違いがある。正確なワインを造るために、区画を細分化し、それぞれの個性を映すきめ細かい醸造が求められている」
 三年前にモレ・サン・ドニ村の特級クロ・デ・ランブレイの支配人になったジャック・ディヴォージュはそう語る。
 ディヴォージュは地質調査を行って、八・六六ヘクタールの畑を、従来の三区画から十一区画に・・・