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WORLD

中露「二正面」に苦渋の米国

重圧増す日本の負担と責任

2022年7月号特別リポート

 ロシアのウクライナ侵攻が長期化の様相を強める中で、中国がインド太平洋地域で攻撃的に勢力圏拡大を進めている。
 米国のジョー・バイデン大統領が、ヨーロッパでの戦争に精力を注がざるを得ないところを突いたもので、バイデン政権は、ロシアと中国という二正面での対応を余儀なくされている。
 米国は日本とドイツの協力を求め、「独裁国家・中露」に対して「民主主義・米日欧」で抑え込みたいところだ。日独両国は防衛費増額で、米中に続く世界第三、第四の軍事大国への道を模索し始めた。
 中国とロシアは、西側同盟の態勢が整わないうちに、新秩序を先取りしようと軍事・外交攻勢を強める。ウクライナ情勢に世界の関心が向く中で、太平洋地域の外交安保も動きが激しくなっている。

台湾制圧の準備進める習近平

 中国の軍と共産党幹部が待ち望んだ瞬間が、六月十七日にやってきた。中国の三番目の空母「福建」の進水式である。
「福建」には、世界屈指の先端技術が採用されていた。戦闘機出動時に電磁式カタパルト(EMALS=イ・・・