三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

国内骨董品市場に明るい兆し 外国人観光客再開と円安が追い風

2022年7月号

 国内の骨董品市場にも少しずつ明るい兆しが見え始めている。
 新型コロナ禍で骨董、古美術業界は痛手を負った。特に、それまで上顧客だった中国人富裕層による「爆買い」がなくなり、売り上げは激減。また、日本独自の業者間取引である「交換会」も低調になり一時はどん底になった。交換会などは徐々に戻りつつあるが、問題は中国人。ネット取引が増えたとはいえ、最終的に現物を確認せずに、高価な陶磁器などを買うことはできない。
 しかし春以降、外国人入国者数が徐々に拡大。この六月には観光客の受け入れも始まった。都内のある骨董商には、早速米国人のコレクターやディーラーが複数人訪れたという。現在は、空前の円安水準になっている。欧米のコレクターにとって、大幅な割引販売が行われているようなものなのだ。
 コロナ禍前まで、中国人富裕層は各国で骨董を買い漁っていた。そのためすでに在庫が品薄の国もあるとみられる。しかし日本にはいまだに掘り出し物が眠っている。中国人バイヤーなどが戻る前に欧米のコレクターは買い漁るだろう。骨董品の国外流出が加速しそうだ。・・・